フランスでのオリエンテーリングと過去adventのお気に入り記事

裏Advent calendar10日目

 

なんか今年はレベルが高いという噂のadvent calendarですが、今年も執筆します。京葉OLクラブの吉澤です。初回以外の人は裏に回されるのはなんか理不尽な気がするのですが、裏なのでゆるく書いていきますかね。ああ、ジョグノートがなくなるの悲しいです。

 

今年はOB2年目で、アジアユース併設大会の運営責任者をやっていました。夏休みに3日休暇を取って運営していました(運営していた多くの社会人が同様です)。それはそれは大変な運営でしたがその話はもっと重役で大変だった柴健が書いてくれそうです。また、KOLCのオフィシャルをやっています。海外には今年も行って、来年はO-ringen行きます。(O-ringenのエントリーリスト見たら日本人だけで30人くらいますね、すごい)

 

今回はフランスの大会に出た話と、過去のadvent calendarのお気に入り記事について書いていきます。

 

第1章

5月、フランスに行く

 

今年の5月は10連休でした。

GWの随分前からここで何かしようとは思っていましたが、国内旅行はツアーも飛行機も宿泊もありえないような価格が設定、予想されていたので自然と海外に目が向きました。春だし、オランダのキューケンホフ公園にでも行こうとなりました。しかし10日間もオランダ周辺でやることもなさそうだし、どこかでオリエンしようという発想に至りました。

 

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キューケンホフ公園きれいでした

 

今年の4日目の表advent calendarを書いてくれた(良い記事でしたね!)英人氏に連絡を取ってみると、GW期間にヨーロッパではスウェーデン、フランス、ポーランドで大会がやっているとのことでした。その中から自分の旅程とも合いそうなフランスを選択しました。そして、彼もついてきてくれるということに。

 

海外旅行でもGWは当然高いだろうと思われるでしょうが、海外に一度出てしまえば宿泊や交通は概ね普通の値段です。つまり、往復の飛行機の値段が問題でした。普通に4/27出国、5/6帰国のスケジュールでは、スカイスキャナーで調べてもハワイは往復50万、ヨーロッパも25万が当たり前といったところでした。

ここで私は伝家の宝刀である有給を使い、平日である4/25・26を休みに。さらに4/24出勤後出国、5/7帰国後出勤というスケジュールを立てて、東京パリ往復12万を実現しました。2日有給を使うだけで相対的に10万程度の収入を得ていると考えると、繁忙期からずれて行動することがいかに大事かわかります。

 

4/30までヨーロッパ3か国を巡っていました。そして向こうでは17時頃でしたが、スマートフォンで平成から令和への改元を見届けた次の日の5/1、私はフランスのストラスブールに入りました。ここで英人と合流です。彼は夜行バスで来た模様。

 

フランスの大会はChampionnat de France de Moyenne Distanceという名前のWREで、要するにフランスミドル選手権でした。これが5/4にあり、5/1は普通の練習会みたいなもの、5/2-3はモデルイベントが行われ、5/5はリレー大会が行われることになっていました。あとから分かることですが、5/5のリレーは日本でいうCC7にあたり、ほとんどの人は5/4-5の両日に参加するようです。私たちはこれを知らずに5日のリレーを申し込まず、5/1-4に参加することにしたのでした。

 

5/1 練習会

初日はcolmar(コルマール)という場所から会場まで車で送ってくれました。正確には運営が「誰かcolmarで参加者拾って来れる人いないか?」という呼びかけをして、それに応じてくれた参加者の方の車でした。今回はスキーリゾート的な街の近くの山林が会場です。

 

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colmar、アルザス地方特有の建築様式

 

初日から不思議だなと感じたのはパスポートを預けないとSIを借りられないということです。忘れたら一大事ですね。あと健康診断書も必要だった気がします。

クラスの名前は色で、黒色が一番難しいようです。これを走りました。

コースは1つのエリアでかなり回していました。Bヤブは日本よりヤブかった気がします。4kmのコースでしたが、結構ツボって1時間くらいかかりました。

 

5/2-3 モデルイベント

前日の練習会で危機感を覚えながら私たちはモデルイベントへ。しかし、初日に送ってくれた方も4日までは来ないということで足がないのでした。そこで街に繰り出してオリエンティアを探し、乗せてもらおうとしたのでした。英人がテーピングが欲しいというので薬局に行くと、早速スポーツする格好の人を発見。オリエンティアだったので、車に乗せてもらうことができ、モデルイベントに向かったのでした。

 

次の日もこんな感じでもう一つあるモデルイベントテレインに行こうかと思いましたが、2人とも疲れていたので、街を散策、午後は自転車で展望台に行きました。

 

さて、ここで問題が。ミドル選手権のプログラムがようやく大会前々日あたりに出たのですが、フランス語のものしかありません。翌日のテレインの場所も輸送もよく分からない。

 

イベントセンターに行って誰か輸送してくれないかと聞いてみましたが、そもそも英語があまり通じません。(フランス人は英語を使いたがらないとは聞いていましたが、英語を話せる人も多くない印象です。)「メーリスで参加者に呼び掛けてみるよ」とのことでしたが、あてにならず。

Google翻訳を使い、イベントセンターに来るオリエンティアにも何組か聞いてみましたが、翌日の車は空いていないとのこと。初日に送ってくれた方にも連絡を取ってみましたが返信は来ず。

 

結局翌日の交通は決まらないまま、万が一、朝に返信があったらそれに乗っかり、返信が無かったらヒッチハイクをしようということになりました。Colmarへ降りる公共交通機関もなく、かなり途方に暮れていました。

 

5/4 どこまでも壮絶だったミドル選手権

 

翌朝、返信は来ていました。が、自分のスタート時間に合わせていくとのことで時間が合わないということでした。

(私たちはなぜかフランス選手権でエリートを走れたのですが、WREイベントなので世界ランキングでスタート順が決まります。驚くことに世界ランキング3位の人も参加していました。私たちは実績もないのでもちろん最初の方のスタート。初日に送ってくれた方は結構オリエンが速い人だったようです。)

 

どうしようもないのでタクシーでオリエンティアがいそうな場所まで移動します。オリエンティアの車の列であろうものを見つけました。ヒッチハイクのやり方なんて全く分からなかったのですが、とりあえず、参加者配布物封筒を大きく振ってみると1人で来ていると思われる車が1台目で止まってくれました。かなり運が良いです。OECDで仕事をしているというおじさんは、そのまま駐車場まで載せていってくれました。

 

ヒッチハイクが成功して駐車場まで来れたのは良かったのですが、ヒッチハイク場所から駐車場は想像より遥かに距離があり、車も多く、時間を要していました。駐車場から会場までは2km、会場からスタートも3kmくらいあるとのこと。今、スタートの25分前で、しかも着替えていない、やばい。非常に焦っていて、あろうことか半袖、そしてデフケースなしで出走することに。これが良くなかったです。

弱い雨が降る中、すごいスピードでスタートに行くと、間に合ったんだか間に合わなかったのかもよく分からず、「デフ取って1分前枠入って」と言われます。デフケースがなかったのでデフは取らないでそのままスタートしました。

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フランスミドル選手権ME

 

28コントロールまであり、コントロール間が近いなという印象。そんなことを思っていると1ポのアタックで1つ目の事件は起きます。

「地図にデフがない…?」

思い出してみると同期の坂梨がユニバで同じようなことを言っていた気もしますが、まさかの事態…。

 

唖然としましたね。このコースだけでも近接しているコントロールは多いのに、ましてやこれはフランス選手権。参加者は1000人以上で併設クラスもたくさんあります。非常に多数の隣ポがあるのは間違いないことでした。この時点でポスト番号が合っているか、ちゃんとコントロールについているかは一切分からないままレースをすることになりました。(今考えるとスタート戻ってデフもらいに行けば良かったかもしれませんね。)

 

そこからはかつてない集中力でレースを続けました。また、なるべく確実なルートを取り、そしてAPを近づけました。直進がバシバシ当たります。人間追い込まれると結構うまくいくものです。しかし第2の事件が。

 

白いものがたくさん降ってきたのです。大粒の雪でした。さっきまで雨だったじゃん。5月だというのに雪が降るって…。後で聞くと運営者は「この時期で雪が降るなんて今年はcrazyだ」なんて言っていました。

ちなみに東京で5月は25度もザラです。本当に驚きました。さらに後半の湿地で足が濡れてどんどん体温が奪われていきました。

 

なんとかゴールして計算センターを通ると、何も言われないで紙をもらいました。がくがくに震えながら思わず、「全部通過しているんですか?」と聞いてしまいました。奇跡的に完走していました。喜ぶのもつかの間、かじかんで着替えることもできず、コートと財布だけ取って、たまたま会場そばにあった暖かいカフェに飛び込んだのでした。1時間くらいストーブの前から動けず…。ちょっと落ち着いたくらいで一旦外の様子を見たのですが、英人も同様の様子で外で動けなくしていたので建物に担ぎ込みました。2人とも低体温症の危機で、危うく海外で昔の赤根みたいになるところでした。海外の気候を甘く見ていました。

ちなみに私の記録は1時間ちょっと。最速の人は30分程度で走っていて世界の速さを感じたのでした。

 

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レース前にはなかった雪がこれだけ積もっていた

 

さて、帰りもあらゆる人にcolmarに下りないかと聞きましたが、リレー前日にそんな人はいないらしく、最終的に実行委員長のお父さんが下の村まで送ってくれました。さらに村からcolmarへは行かないが大きい街に出るバスがあることが分かりました。この実行委員長のお父さんは日本に来ていたことがあり、その縁で日本人に優しくしてくれたとのことでした。ありがとう、どこかの日本人。ありがとうフランスのオリエンティア。私たちも外国人には優しくしましょう。フランスの人は温かかったです。

 

壮絶な1日を過ごし、感謝を胸にストラスブールへ戻っていったのでした。

 

 

第2章

Advent calendar全部読んできた私が過去のお気に入り記事を紹介します

 

2016年から始まったオリエンティアadvent calendar。2017年からは裏も始まり投稿された記事は150を超えています。だいぶ増えました。ちなみに私も過去2回書いています。オリエンティア Advent Calendar 2018 アクセス数(http://orien-advent.hatenablog.com/entry/accesslog2018)によると、インドアOの記事(書いた日)は2018最多PVだったらしく、ちょっと驚いています。未読という方は是非読んでみてください。

 

2017,海外大会の探し方と交流について

http://orien-advent.hatenablog.com/entry/2017/12/05/173158

2018,インドアO ~WOCよりも難しいコース?~

http://orien-advent.hatenablog.com/entry/2018/12/14/212331

 

advent calendarは良記事が多く、最近は「オリエンテーリング界の資産」とも呼ばれるくらいで、全部読んでほしいというのが本音なのですが、ここでは私の(完全に主観で選んだ)お気に入りの記事を紹介したいと思います(今年の記事は含みません)。ちょっと面白い要素のある記事を選びがちかも。

 ①月間走行距離50kmでもインカレ入賞する10の方法(2016,宮西さん)

http://orien-advent.hatenablog.com/entry/iwahage/20161209

【コメント・好きなところ】現在は宮西山野精図で活躍している宮西さんの記事です。(さくらんぼ大会楽しみにしてます。)タイトルに負けず、内容がかなり実践的なところが好きです。

 

 ②私がオリエンを始めるまで・東大大会のキャラクターレビュー(2016,圭さん)

http://orien-advent.hatenablog.com/entry/2016/12/14/000000

【コメント・好きなところ】今年の全日本リレーにも「かさまくしょん」チームが登場していました。OLKのマスコットキャラクターは毎年中毒的な感性がある気がします。

インカレ入賞した人が入部に至る経緯を書いた文章ですが、「もしかしてこのサークル、オリエンテーリングをするサークルなのでは」の一文が当時自分の頭の中でリフレインしていました。

 

 ③卒業後のインカレ(第1部:もう一つのインカレ、第2部:インカレ運営の記録、最後におまけ)(2016,結城さん)

http://orien-advent.hatenablog.com/entry/2016/12/17/000000

【コメント・好きなところ】私が一番好きな記事です。文章の才能もあるのずるいです笑。

shooting star shioyaのロゴが純で囲まれているところとか、「THANKS」と「thanks」というパターン振りとか個人的ツボなポイントがたくさんありました。そしてその後に続く、インカレスプリントのめっちゃ濃い内容。

 

 ④話題になったあの大会のこと(2017,藤村さん)

http://orien-advent.hatenablog.com/entry/2017/12/01/000000

【コメント・好きなところ】間違いなくこの年一番話題になった大会でした。広報の仕方やネタの提供という意味で学ぶことがたくさんあります。

 

 ⑤リレーで勝つために/インカレスプリントの提訴の件(2017,堀田さん)

http://orien-advent.hatenablog.com/entry/2017/12/17/202406

【コメント・好きなところ】リレー走る人、全員に読んでほしいです。私はこの記事を初めて読んだとき、リレーを何度も走ったことがあるはずなのに、目から鱗状態でした。

 

 ⑥テレインクイズとは…?(2017,橋本さん)

http://orien-advent.hatenablog.com/entry/2017/12/24/171437

【コメント・好きなところ】最初にテレインクイズを見たのは確かこの記事に出てくるOLKの夏合宿(私はレジャセンでバイト)で、「七国峠の尾根を並び替えろ」という問題に衝撃を覚えました。地図マニアの中のマニアを決める感、でもたまに初心者でも閃きで分かる問題があったりして好きです。テレインクイズはその後広がりを見せ(?)、台風で個人戦が翌日に延期になったIH2017でも選手の暇をかき消すために出題されていました。最近はKOLCの後輩の西下君もたくさん問題を作成してくれています。

 

 ⑦オリエンしやすい働き方 + おじさん、練習がんばってます!(2017裏,2018裏,新田見さん)

http://ol-training.bright-compass.co.jp/2017/12/12/post-483/

http://ol-training.bright-compass.co.jp/2018/12/14/ojisan_training/

 

【コメント・好きなところ】50代になっても速いというのはどういう努力をしている人なのだろう、という疑問が解決されていった記事でした。2017の方のもう一つの「独立してネットショップを経営している」話も興味深いです。

 

 ⑧ロングレッグのお話(2017裏,結城さん)

https://www.dropbox.com/s/jsvq7gzy2p1ncb2/Advent%20Calendar2017.pdf?dl=0

【コメント・好きなところ】タイトルからは想像できないですが、「掛け布団・敷布団と見事に三位一体となっていた」筆者がオフトゥン係数を定義して万有引力の式に当てはめるところが好きです。

 

 ⑨社会人になってみて、半年経って、思うこと(2017裏,基成さん)

http://sugamoto.hateblo.jp/entry/2017/12/20/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BA%BA%E3%81%AB%E3%81%BF%E3%81%A6%E3%80%81%E5%8D%8A%E5%B9%B4%E7%B5%8C%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%80%81%E6%80%9D%E3%81%86%E3%81%93%E3%81%A8

【コメント・好きなところ】

社会人になったとき、めちゃくちゃオリエンが速い人でなければ、一度はこういう感情を持つのではないかという意味で非常に共感できる記事です。私も人とのつながりがない環境になったら(地域クラブとかに入っていなかったら)、オリエンテーリングを続けてないかもしれないです。環境って本当に大切です。ちなみに基成さんは今年の記事は言語化について書かれていますが、就活うんぬんはともかく、オリエンテーリングが速くなるために言語化するっていうのは大切な思考、行動だと私も思っています。

 

 ⑩東京都OL協会普及指導部 都庁スプリント開催できるようになるまで(2018,新田見さん)

http://ol-training.bright-compass.co.jp/2018/12/06/tocho_sprint/

 

【コメント・好きなところ】おそらく近年最高レベルに「え、ここでできるの?」となったであろう都庁スプリントの渉外の話です。「実際にお会いして話をするのが大事」ということがよく分かります。ちなみに新潟県庁でも私の同期の高野君がスプリント開こうとしているみたいです。

 

 ⑪最軽量シェルターの作り方とレース本番で持って行き忘れたときの対処法(2018,宮西さん)

https://note.mu/iwahage/n/nfb26c0c96b98

【コメント・好きなところ】テントって持っていき忘れても作れてしまうというところが衝撃でした。

 

⑫アナリシスのすすめ(2018,勝山さん)

http://orien-advent.hatenablog.com/entry/2018/12/11/014048

【コメント・好きなところ】アナリシスの記事です。今年は増沢さんも書いていましたが、インカレチャンプ・日本代表がどんなアナリシスを書いているのかというのは非常に参考になります。序盤の「これは行動記録であって分析ではない」が非常に重要な一言だと思います。

 

 ⑬中高オリエンテーリング界について(2018,折橋君)

http://orien-advent.hatenablog.com/entry/2018/12/13/152256

【コメント・好きなところ】中高生のオリエンテーリングについて書かれた記事は少なく、かなりの範囲を網羅している記事です。私も桐朋高校出身でIH運営も5年間やりましたが、もっと多くの方に中高生のことを知ってほしいです。

 

他にもok-info、rice、GPS、桴場、「コンタリングは速いかもしれないが命は惜しい」などなど、無数に紹介したい記事があるのですがこの辺で。記事で選んだ結果、OLK率が高くなった模様です。

 

8100字ほど書いた模様です。ご閲覧ありがとうございました。